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Real World - アシエ・アカラシエ /*
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その他の情報
使用画材 |
ペン |
サイズ |
148×210mm (額: 245×307×28mm) |
制作年 |
2022 |
この作品について
この作品は、私にとって二つの大きな意味を持った作品です。
一つは、私の作品作りのメインテーマである「内なる心の平安」を表す、あるイメージを描いたものだということです。
その風景を表すとき、私の心には今まで自分が体験し、心を動かされてきた様々な”景色”が思い浮かびます。
その一つが、アリゾナ・ホピの地で感じた「天からの恵みを、遮るものなく受け取っている大地」というイメージでした。
ホピの土地では陽光が家々を照らし、水が極端に少ない乾いた場所に雲がここまで雨を運び、夜は涼しさと星の明かりが遮られることなく空からやってきました。私には、建物も、背の高い木々も何もない大地が延々と続くこの土地が、空から降り注がれる恵みを、余すことなく受け取る豊かさに溢れているように見えたのです。
そのために、私はこの「大地」の風景画を描くとき、よく画面に雨や太陽の光、宇宙線を降らせて描き込みます。
日常の生活において、私たちは既に与えられているものや自身に備わっている力に目を向けられず、常に過去か未来を見て欠乏を感じたり、悲観的になったりしがちな部分があります。
「天からの恵みを、遮るものなく、妨げるものなく受け取っている大地」というこのイメージは、私にとって過去や未来に向けられた焦点を、今ここにいる1人の人間が持つ大きな力に向けるための、強力なシンボルになりました。
この絵画が持つもう一つの大きな意味は、私が一番力を入れている黒一色の画面作りの作品だということです。
沈黙した心の静寂とその心地よさを表すために、余計なものを入れず、豊かでかつ“鎮まった“画面を白地に黒色の一色のみで表現することは、私の情熱です。
〈この作品の模様について〉
全体で表しているのは、単なる自然の外観ではなく、私たちの精神世界の状態でもあります。
全てを削ぎ落とした先に見える、完全な自己充足の世界とも言うべきものです。
画面下の大地に描かれた模様は、地に根を下ろして芽吹く木々と、私たち一人ひとり、またそれに宿る力と静寂を表しています。
「大地」というシンボルは、私にとってとても重要なモチーフの一つとなっています。静かに、時に熱く、私たちの心に、その素朴な力を思い起こさせてくれる力強い象徴として配置しています。
左側には三角形の山が鎮座し、天の雲から雨が惜しみなく降り注ぐ様を描いています。
山に雨が蓄えられ、地下水や川の流れとなってその恵みが巡っていく様は、私が登山部で精力的に山登りをしていた時期に強く感じ入り、心の中にアーカイブしていた自然の様相でした。
画面の右側には、太陽と内なる平安の一元性の力の両方を象徴する円の模様が描かれ、そこを源として様々な事象が波及していく様を模様にして描いています。例えば、円の左下部分では、雲や風の動きを図案化しています。
この内なる平安を示す円の模様は、この絵画の至るところに現れますが、これはすべてのものがその性質と力をもともと備えていることを表しています。私たち一人ひとりが持つ心の静寂という力への賛歌として、シンボルとして描いています。
太陽の下の小さな植物の芽吹きは、私たちがいつでも見出すことのできる、新たなるものとフレッシュさを表します。
作家について
アシエ・アカラシエ
1998年生まれ、群馬県前橋市出身。
大学中退後、絵画や詩の制作を始め、前橋市での活動を広げる。ニューカレドニア、トルコ、アメリカ(アリゾナ、ホピ)等への渡航を経て自身のスタイルを確立。2020年に画業の個人事業主として開業・活動を開始する。
世界の考古学的美術やプリミティヴ・アートの持つ精神を創作のルーツとし、日々を「生活する」ことで体験される様々な精神性を、記号やシンボルに落とし込む表現を追求する。
© 2021- COSMOS GALLERY