Ask me now - 伊藤大介

今回は普段あまり使わないピロールレッドを基調とした作品となっています。
主題としての２つの同型のモチーフが少し浮き上がって見えるのはそれぞれの色彩の微妙な関係に依るものか、またはモチーフの後ろに走る白線がそれをもたらすのかは判然としませんがこの画の特徴とは云えましょう。
マイルドなライラックのモチーフには緑から黄色へと移行するグラデーションをつけました、ここには緑と黄色を６対4の割で対比させるつもりでしたが、ある種の虚実対象のようなニュアンスが欲しくなり隣のモチーフと対立させています。
このように現象の模写でないモチーフを現象の条件である空間性を通じて絵画芸術的に描くことはわたくしにとっての技術的課題ともいえるもので、それをいかに色彩の調和の上に展開出来るかそれこそがモチベーションに他なりません。
タイトルはこの二律背反、アンビバレンツな芸術の本質を見事に表現したアーチスト、セロニアスモンクのオリジナル曲からとりました。