Four sisters - 伊藤大介

展覧時縦横フリーなこの作品はあえて装飾性をギリギリまで切り落とし、同時に作者の中にある色気(てらい)とか飾り気(気取り)なども可能な限り排除したストイックなものに仕上がりました。
同じ大きさの四種類の色が並んでいるだけの画面ですが、それぞれの彩色は深く何層にも重ねて塗られており独立した美を感じさせます。
４つそれぞれに異なるエピソードが描かれていますが唯一の曲線である◯によって画面全体が冷たくなるのを防いでいます。
この◯が何処に位置するかで絵の印象が替わるわたくしの作品の特徴をよく表しているポイントですが、製作時にはこの◯が置かれる紫に最も神経を使いました。そもそも紫をむらなく塗るには何度も重ね塗りが必要であり背景のブルーとの調和を保つ為には更なる調整がいるのですが困ったことに紫は塗りすぎると黒に近づくという特性を持っています、他の３つのエピソードが殆ど筆あとを感じさせない為に同じ質感を出すのに苦労しました。
バランスよく塗り重ねるのにかなりの時間を使いましたが結果、仲の良い姉妹のようにサウンドしてくれて安堵しています。