Little episode in the blue story - 伊藤大介 /* / 伊藤大介 */ ?>
使用画材 | アクリル絵の具 |
---|---|
サイズ | 530×530mm |
制作年 | 2023 |
この作品について
今回お届けするのはやや大きめの(53×53cm)正方形の作品です。
ブルーを中心とした基盤の上にそれぞれが近親関係にある四角の色面を各方面に散らす様に配置しています、あえて複雑なカラーバリエーションを使わず色数を絞ってシンプルな色彩の調和を追及しており、暫くはこの傾向が続くと思われます。
尚、コンポジションの段階ではもう少しコンパクトなものでしたが久しぶりに等倍に拡大してタブローとしました。
その際、原典の本質を失うことなくモチーフを拡大するのに神経を使いました、几帳面に計算して等倍しましたがもっとコンポジションを打ち壊すくらいの決意で展開出来ないものかと自分に対して苦笑いしているところです。
ところで、少し空間性について語りたいと思います。
そもそも、立体も含めた空間芸術にはモチーフそれぞれに相応しい大きさというものがあるとわたくしは考えます。それは例えれば音楽のフレーズひとつひとつにはピッタリとしたテンポがあるのと同様で相対的な妥当範囲というものがありそれらはめったやたらと拡大·縮小するものではないという立場です。
しかし、この問題もモチーフが実物の模写であるのと
私のような抽象的な造形である場合とで話はやや違って来ると思われます。わたくしのモチーフはあくまでも、ある色彩の範囲を特定する色面に過ぎずモチーフとすら呼べないようなものですが一般的な写実絵画の場合と違い実体の制約を受けていないのでより自由な拡大·縮小が可能と思われます、全体的な調和にのみその本質が現れるからです。
では、抽象芸術作品の大きさとは何に準ずるのか?
その答えはズバリ、制作現場(アトリエ)のキャパシティ(広さや壁の高さ)に依るところが現実でわたくしの作品も当然この制約の中で作られたものです、なんだか身も蓋もないような話になりましたが(笑)…現実的実際的な制約も自由な精神との対立によって作品を産む契機として機能しており決してネガティブな側面ばかりではありません。
事実、今後の海外展開を目論む身としましては少しずつでも作品のスケールを大きくしていきたいという思いを強くしていますが、同時にオーダーメイドを制作する場合には極めて自由に小さなものから100号!に至るまで柔軟に対応したいと考えています。
これを機に今までの制作工程に捕らわれることなく現実的な制約と自由な発想 この対極のぶつかり合いの中でこそ生まれる精気ある作品を創り続けていきたいと思っています。
作家について
画面上にメッセージやモチーフとしての意図があるわけではなく、色彩の調和のみを追求した純粋な抽象作品を制作しています。
全てではありませんが作品によって上下または縦横を逆さまに飾っても鑑賞出来るようにデザインしてあり、観る方のお好みでより長い間楽しんで頂ける作品となっています。
制作する時は予め折り紙や色画用紙でコンポジションを組みそれを当倍でカンバスに描く手法を採っているのでどのようなサイズにも拡大や調整が可能です。