回帰する森

ある日見た夢からイメージを拾い、描いた作品です。

その夢というのは、友人と川の源流を目指して山の中を歩いていると、はるか向こうに人が住む集落のようなものが見えました。そして休憩しようと二人でその集落まで行くと、人種も言語も全く違う者同士が当たり前のように暮らす世界がありました。食べ物がふんだんにあり、気候も穏やかなので、私はしばらくそこに居たかったのですが、友人が帰ると言ったので渋々山を下り始めた…といった内容のものです。

山の中には、悠然と佇む外側の姿とはまた違う混沌とした世界があります。しかし、混沌としていながらも暗黙の了解によって秩序は保たれ、境界線が引かれます。

私がこの作品で描いた風景は、その境界線の向こう側をイメージし、抽象化したものです。また、タイトルの「回帰」という言葉に、私たちがその場所からやって来て、またその場所へと戻って行くという意味を込めました。